ある妊婦さんとの出会い

    以前、私が育児ブログを書いていた時の話です。
    ある妊婦さんが、ブログにコメントしてくれました。

    当時の私のブログは、コメントをオープンにしてあり、恵まれていることにコメントを入れてくれる方がたくさんいたため、正直時間の問題もあり、いただいたコメントに目を通すだけしかできない状態でした。

     

    そんな中、ある妊婦さんのコメントがすぐに目に止まりました。
    私の記事に対して、他の人とは違った雰囲気のコメントだったからです。

    確かそのときの私の記事は、流産と死産についての内容でした。

    私は流産も死産も経験しており、長らくそのことに関しては口にも出せずにいたのですが、ようやく心の整理がついてきたので思いきってブログ上に書いてみたのでした。

    その反響は大きく、鍵コメ(秘コメ)で「実は私も流産しました」や「実はトラウマです」など、外では言えない声がたくさん集まりました。(鍵コメ=管理者しか読むことができないコメント)

     

    そんな中、ある人から鍵コメではなく、普通のコメント欄に、

    「私は帝王切開で出産予定です。でも、成功するか分かりません。」

    という長文のコメントが入りました。

    「結果、あなたは無事に出産したのだからいいじゃないですか。」
    とも取れるニュアンスの少し尖った口調のコメントでした。

    ですが、“自分の出産が怖くてたまらない、難しい出産になるから予想ができない”
    そんな雰囲気も伺えました。

     

    私はその人のブログへ行き、彼女の記事を読みました。

    出産予定であることは書かれていましたが、ほとんど日常生活の記事だけで、シビアな内容は一切ありませんでした。
    出産直前に、入院の準備をする内容の記事に少しだけ不安が綴られていました。
    でも、本当に少しだけです。

    私は彼女に、鍵コメしました。

    残念ながら、自分で書いたコメントを忘れてしまったのですが、励ましの言葉を書いたと思います。

     

    しばらくした後、あのコメントをくれた人はどうしたかな〜、
    と思い彼女のブログを訪ねました。

    すると、ブログには無事出産を終え、退院後の幸せそうな記事がいくつか書かれていました。

    その中の記事のひとつに、私のことが書かれていました。

    「私のブログにmayuさん(当時は違うHNでしたが)が書いてくれたコメントを印刷し、お守りの中に入れて出産にのぞみました。mayuさんの言葉は宝物です。」

    涙が出ました。

    言葉で人を救える、これを実感した瞬間でした。

    と同時に、小さい頃から自分の中にあった、
    「誰かを楽にしてあげられる人になりたい」という思いが形になった出来事でした。

    会ったこともない、それも何度も交流があったわけでもないけれど、ちゃんと人と人は繋がれるんだ。

    そう確信したのでした。

     

    これらの経験は今も私の中に息づいています。

    私は、言いたいことの半分も言えないで、くすぶっている人の代弁者になりたい。
    私が経験してきたことが役に立つのであれば、それらを伝えたい。

    そう思っています。

     

    みんなみんなそれぞれに大変な思いをしていて、
    私だけが特別に辛い思いをしているわけではないけれど、
    でも私にもきっと何か役に立てることがあるはずです。

    私の小さな日常の、小さな小さな出来事を綴るサイトですが、
    これからも読んでいただけたら幸いです。

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