オープニング(導入)は、問いかけにしよう。
このクライアントさんから感じる“包まれ感”は、物腰やわらかい気遣いから流れてくる。
「最近、どうしてた?」
「お仕事、お忙しいんでしょ?」
クライアントさんの話す空気を体いっぱいに思い出して、壊さないよう、ゆっくりゆっくり頭に浮かぶ単語をノートに置いていく。
文章でなくていい。
思いつくイメージをそのまま。
おおきい言葉、
ちいさな単語、
あらゆる形のあらゆる色をした言葉がノートの上にひしめくと、今度はノートに置かれた言葉たちを眺める。
考えない。眺めている。
すると、似たような言葉同士や、
意味は違ってもくっつきたがっている言葉同士が、
お互いに吸い寄せられていくように見えてくる(感じてくる)。
私はそれをとりこぼしのないよう拾い上げ、
依頼された文章の形へと整える。
文章が完成するまでの工程は、まだまだたくさんある。
これはあくまでも書き始めのところ。
でも、決して手を抜いてはいけないところ。
完成までの山は次々と連なり、その山脈を前にクライアントさんの顔を思い浮かべながら、都度、登り方を考える。
(テクニック、という栄養補給も忘れない。でも摂りすぎないように注意する。)
誰一人として、同じ登り方の案件はない。
出来上がる文章も、時間はかかるけれどテンプレートにはない「オリジナル」という温度がしっかり詰まっていく。
PCに向かい、
「mayuさん、最近はどう?」
と私を笑顔で覗き込むクライアントさんを感じながら、ひとつひとつ、その問いかけにこたえるように文章を書く。
むずかしいけれど、人を感じることができる私の仕事。
私を成長させてくれる、私の仕事。