
時間を忘れて没頭し、もとの世界に戻ってくるのが大変なくらい面白い小説を読んだあとの、あの満たされ感はしあわせです。
のめり込んで読んだ時間も自分の大切な時間として残りますが、欲をいえば、小説で読んだことや感じたことを暮らしの中でも活かせることができたらいいな、と思います。
たとえば、ビジネス本やハウツー本なら、そこに書かれてあることをトライしてみれば、アウトプットになり土台にもなりますね。
一方、小説は、読んでいる間のワクワクドキドキは最高に楽しいのですが、読み終えてしまうとそれきりになってしまうことも多いです。
「小説は読んだら終わりだから、買わずに図書館で借りてる」
なんて声もよく聞きます。
私は仕事柄、なるべく多くの言葉に触れ、それを自分でアレンジして集めておきたいので、頻繁にメモをするクセがついています。
その習慣が功を奏してか、小説を読み終えてもしばらく内容を覚えていたり、忘れた頃にふと思い起こしたりできているようです。
このブログでも、本の引用や映画のセリフが頻繁に記事の中で登場しますが、日常でも同じように引用やセリフを思い出しては、自分の心境と比較したり、心に残るきれいな言葉に体を浄化させたりしています。
・・・と、ここまでかなりマニアなことを書いているので、ものすごい奇病にでもかかっているのではと思われていないかヒヤヒヤしているのですが(笑)、実はこれがかなり効果的で、いわゆる疑似体験に近い心理状況になれるんです。
日常の雑多で疲れてしまったとき、ふと見上げるとそこに青空。
すると、どこからかこんな言葉が私の頭をよぎる。
「空を待つ」
すると、不思議と気持ちが前向きになれた気がした・・・。
こんなことがよくあります。
「空を待つ」は、西加奈子さんの短編小説のタイトルです。
(私はこの小説は、「小さく小さく再生していく、自分(読み手)の物語」だと感じています)
このように、かつて読んだ小説のカケラが意識の外から飛んできて、こうして空を見上げた私に「空を待つ」の風味のきいた風を運んでくる。
それがきっかけとなり、たとえ一瞬でも晴れやかな気持ちになれ、胸をひらいて深呼吸できるのです。
そしてこの風はどこから吹いてきたのかというと、“本を読んだ過去の自分の時間”と“言葉メモ”です。
小説を読んで胸に抱いたイメージは、自分では忘れてしまっても体のどこかで息づいていて、ある時ふと思い出させているのです。
そして、言葉のメモがあればなおのこと、読んだ軌跡を思い出せる機会に恵まれます。
だから。
私は、「いつか思い出すときがくるのかな」と思いながら、小説を読んでみることにしています。
小説は、頭でインプットするビジネス本とはちがった取り込み方で、地味に密やかに自身にインプットされているのです。
① 印象に残る言葉をひろってメモする
② 「いつか思い出すかも・・・」と意識しながら読んでみる
③ できれば借りるのでなく自分で買って、「買った日」「読み終わった日付」を表紙裏などに書いておく
私はこんな流れで本を読み、体にストックしています。
上記はあくまでも一例であって、私とまったく同じでなくてもいいと思うので、小説を読むときはその時の自分にあった言葉と、自分に流れている感情をキャッチする期待をもって、読みすすめてみてください。
いつか、なにかの種になります。
《小説を読もうの会(今つくった!)》のmayuでした。
では♪
ーー 参考書籍 ーー
今回の記事に登場した、西加奈子さんの『空を待つ』は、短編集「炎上する君」にあります。