【疲れない読書】『カイマナヒラの家』(池澤夏樹)

【疲れない読書】『カイマナヒラの家』(池澤夏樹)

様々な人が共同生活を営むその家は、サーフィンに魅せられハワイイに通うぼくの滞在場所となった。夕日の浜でサムに聞いた「神様は着陸を禁じられた飛行機」の話、伝説の女性サーファー、レラ・サンの死。神話を秘めた島ハワイイが見せてくれる、永遠に通じる一瞬と失わなければいけない時を描いた、美しい物語。

(「BOOK」データベースより)

ここに『カイマナヒラの家』という本があります。
この本は、「ストーリーに感動した!」「刺さったー!」という読後感ではありません。

このストーリーの世界観・雰囲気に気づいたらいた、という作品でした。
正直、話の内容は細かくおぼえていなくて、最後まで小舟で流されたような静かな満たされ感です。

 

でも、ちょっと考えてみてください。

本を手にして、うわの空で心地よく本を読みきれることなんてありますか?
つい内容に集中して、なにかいろいろを意識してしまうのが読書というものです。

ふつうに暮らしていても、うわの空にはそうそうなれるもんじゃありません。

ボーっとしたいと願っていても、
何も考えずに・・・と構えても(構えてしまう時点でストレスですね)、
スマホに呼ばれれば反応してしまう昨今です。

 

ストーリーの世界の中に入っていって、そこでうわの空になる。

まるで、脳がサウナか温泉に入っていくような。
そこで手足を伸ばして、脱力するような。
水面にフワフワ浮きながら空を仰いでいる・・・そんな心地よさ。

私にとって、貴重な「うわの空になれる本」でした。

夢と現実と空想を行ったり来たり。
ハワイのやさしい波に乗っているようです。
いつまでもこの本の空気が体の中を流れているのでした。

活字をおいながらも、写真集をながめているような『カイマナヒラの家』。
疲れない読書、体力を使わない読書をしたいときにいいかもしれません。

 

※ 残念ながら絶版となっているようです。
どこかの古書店などで見かけたら、ぜひパラパラしてみてください。
写真をみるだけでも雰囲気が伝わってきます。