
付箋も貼らず、
ラインも引かず、
次に読むときも、
その次に読むときも、
この先、何度読むタイミングがきても、
いつ読んでも、
平らに
フラットに
全部を読み返したい。
どこか特別に読み込むというのではなく、
全部を同じ加減で
読み通したい。
そんな本でした。
『一切なりゆき』樹木希林
* * *
少し気持ちが乱れてしまったり心がざわざわしているときに、「これを読むと戻ってこられる」という本を普段から探しています。
それは、刺激的な内容のものではなく、「どんな境遇で読んでも、安定して静かでいられるもの」でなければいけません。
樹木希林さんの生き方のポリシーは、憧れをいだきつつも私には真似できない刺激的なものではあるけれど、不思議とこの本の文脈では希林さんのポリシーも、地に自分の足が吸い付けられるような、私にも少し近づくことができるんじゃないか、そんな印象を受けました。
時代の流行のなかに置かれながらも、普遍的でいられる美しいもの・ことに触れるのが好きです。
もしかしたら、私は信じたいのかもしれません。
時代が変わっても、何かを守り続ける人の気持ちの強さを。
不安になったら、この本に立ち戻ります。
そしてこれからゆっくり時間をかけて、私の中の真髄をみつけていこうと思いました。
この本は、読むことに体力をつかうことなく一気に読める本です。
ですが、時間をかけてじっくり味わう読み方もできる本です。
機会があったら、ぜひ手に取ってみてください。